男性医師が育児休業を取れない場合は「〇〇」が現実的

男性医師の育児

2022年4月に育児・介護休業法が改正されたことは皆さん記憶に新しいと思います。

男性でも育児休業が取得しやすいように、と法改正がされたのです。

いろんな病院や個人の先生のブログでは、

「育児休業を3ヶ月取得しました」

「半年間、育児休業がとれて人生観が変わりました」

といった報告がちらほらあります。とても喜ばしいことですね。

我が家でも2023年に結婚数年目にして念願の第一子を家族に迎えることができました。

とても嬉しく、その当時のことは今でも覚えています。

しかし、一方で私の場合は育児休業を取得することができませんでした

男性医師も本来であれば、法律的には育児休業を取得できるはずですが、私の場合は現実的ではなかったのです。

この記事では、

なぜ育児休業を取得できなかったのか?

また、

その代わりにどう対応したのか?

この2点をご紹介します。

あくまで個人の経験に基づいた記事になりますが、もしも参考になれば幸いです。

職場の先輩や上司と話をしていて、

「仕事ばかりしていたら、気づいたら子供が大きくなっていた」

「子供が生まれてから数ヶ月-数年間の記憶はあまりない」

といった話を多く聞いていました。

私は消化器内科に所属しており、比較的日々忙しいほうだと思います。どんなに早くとも、夜は7時以降でないと病院を出られません。むしろ、9-10時くらいに帰宅することのほうが多いです。

そんな生活なのもあり、

「忙しいからといって、我が子の成長を近くで見守れないのは流石につらいな、、」

と感じていました。

やりたい仕事はできていますが、そのせいで人生で1度しかない第一子と妻との時間を共有できないのは、解せない、、、

と考えていたので、医局長や教授に育児休業について、直接相談に行くことにしました。

と言われたのですが、

正直、驚きを通り越して、何も感じませんでした。

法改正により、男性医師も子供の出生後、1歳の誕生日の前日までは育児休業を取得できるはずです。

私は当時大学院に通っていたので、日中は大学病院でほぼ無休(わずかな時間外手当のみ)で働いていました

ですので、アルバイト先からの収入だけが頼りです。

上司が言うには、

「大学から基本給の2/3は出るけども、バイトは育児休業の場合は医局からの派遣だから、行ってもらうことはできない。

バイトに行っていると育児休業分の給料は出ないからね。

つまり、先生ほぼ収入なくなるけど大丈夫?

・・・・えっ?

大丈夫な訳ないでしょ笑

人事課にも念の為確認しましたが、同様の回答でした。

わが病院は最近の流れについていけていないのか、

とにかく育児休業の取得は即刻断念することになりました。

なので、

せめて業務量を減らす方法がないか?と相談したところ、

「たとえば病棟担当は外れて、外来や日中の内視鏡治療のみにしてもらうとかならどう?」

という返答をもらいました。

つまり、業界用語でいう「ベッドフリー」というやつです。

普段勤務医は、

日中は外来の患者さん、内視鏡検査や治療を行い、朝と夜、そして日中の合間で病棟患者さんの対応をしています。

正直、ベッドフリーになるだけで朝と夜の時間がだいぶ空くので、助かります。

だいたい外来の仕事のみであれば、朝の出勤は8時30分くらいで十分で、さらに終業時刻は夕方4−5時くらいのことが比較的多くなります。

また、さらに日中の業務も減らせないかと相談したところ、検査も何もない時間を週に半日だけ、作ってもらえました

ただ、普通は育休とれてバイトもいけるんじゃないのかな、と思いましたが笑

幸いなことに、私の後も、他の医局員の男性の先生たちも、子供が生まれたあとで育児ベッドフリーを取得する人が出てきました。

自分でいうのもなんですが、私の所属する医局では男性のこうした「育児ベッドフリー」は前例がなかったので、この風潮を作ったということは快挙とでも言えるでしょう。(さすがに言い過ぎ)

そして、この提案を受け入れてくれた医局長、教授、負担をかけてしまったにもかかわらず、快く育児ベッドフリーを受け入れてくれた周りの先生たちには感謝しかありません

おかげで、大変でしたが、生まれて3ヶ月間の子供の成長と、日々の戦争のような子育てを妻と共有することができました。

3ヶ月であったとしても、家庭での時間を長く確保できた、ということはとても価値のあることだったと、今でも感じています。

3ヶ月にした理由はいくつかありますが、

奥さんの出産後の体力は1ヶ月では戻らない

と考えられたことが大きな理由です。

もちろん、期間については奥さんと相談して3ヶ月にしましたが、実際に見ていて、

1ヶ月でまだまだ元の体力の40%、2ヶ月で70%程度、3ヶ月目にして80%程度に回復してきた、という印象でした。それでもまだまだ不十分という印象です。

これは、産後の体へのダメージもありますが、授乳や夜泣きの対応などで体力を大きく削られてしまう、ということが大きな影響な気がします。

自分自身で出産、授乳を経験していないのに、何知ってる風のことをいってるの?

と言われそうですが、このように、奥さんの体力がなかなか戻らないところを見ていると、少なくとも、ワンオペになる時間をいかに短くするかということを考えて産後の生活を調整するといいと思います。

今回は私のように帰宅時間がデフォルトで遅い勤務医向けでしたが、

そうでない方の場合には、より一層家族との時間を作るために

週に1回程度の有給を利用するというのも手かもしれません。

前にも書きましたが、やはり産後一番重要なのはワンオペになる時間をいかに短くするかということだと思います。

産後すぐの時期には、少しでも長く家で育児を一緒にすることで

奥さんの体の回復を早める手助けになるかもしれません。

今回言いたいことは、これです。

医療者としての使命感と、父親にしか経験できないことと、どちらを優先すべきなのか。

言葉は悪いですが、医師としての私の代わりはいくらでもいます。しかし、我が子にとっての父親は私しかいません

妻と我が子との時間を共有することを第一に考えるのであれば、

育児休業が現実的ではない環境に置かれている方の場合には

代替案を探っていくしかないのかもしれません

今回の記事が、どこかの先生の役に立てれば幸いです。

おわり

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