【ERCPの略語・用語一覧32個】EST・ENBD・SEMS・PEPまで専門医が解説

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医療コラム

*この記事は2026年8月に更新しました。

私は普段、消化器内科のなかでも、ERCPやEUSといった、膵臓や胆管に病気のある患者さん向けの検査や治療を行っています。
この間、看護師さんや放射線技師さんに向けて勉強会をしましたが、その時に

「ERCP関連の略語多すぎてよくわからないから、先生まとめてよ!」

と言われたので、作りました。
今回はその勉強会で実際に使ったスライドの中から、特に使用頻度の多い用語について、簡単な解説も加えてみなさんにお伝えします。明日からのみなさんの業務の役に立てれば幸いです。

  1. ERCP関連略語 早見表
  2. ERCP関連略語 早見表【全32個】
    1. 基本
    2. 乳頭処置
    3. 胆管の処置
    4. 膵管の処置
    5. 合併症
    6. デバイス
    7. 関連検査・関連手技
  3. ERCP:Endoscopic Retrograde CholangioPancreatography
    1. PEP:Post ERCP Pancreatitis (ERCP後膵炎)
  4. 乳頭処置系(切開や拡張)
    1. EST : Endoscopic Sphincterotomy (内視鏡的乳頭切開術)
    2. EPBD:Endoscopic  Papillary Balloon Dilation(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)
    3. EPLBD:Endoscopic  Papillary LargeBalloon Dilation(内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術)
  5. 胆管の処置
    1. EBS:Endoscopic biliary stenting(内視鏡的胆道ステント留置術)
    2. EGBS:Endoscopic GallBladder Stenting(内視鏡的胆嚢ステント留置術)
    3. ENBD:Endoscopic Naso-Biliary Drainage (内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術)
    4. SEMS:Self-Expandable Metallic Stent (自己拡張型金属ステント)
    5. UCSEMS:UnCovered SEMS(アンカバータイプ金属ステント)
    6. FCSEMS (CMS):フルカバー金属ステント
  6. 膵管の処置
    1. EPS:Endoscopic Pancreatic Stenting (内視鏡的膵管ステント留置術)
    2. EPDS : Endoscopic Pancreatic Droppable Stenting? (内視鏡的膵管脱落ステント留置術)
    3. ENPD:Endoscopic Naso-Pancreas Drainage (内視鏡的経鼻膵管ドレナージ術)
    4. SPACE:serial pancreatic juice aspiration cytological examination (連続膵液細胞診)
  7. その他処置系
    1. ML:Mechanical Lithotripter (機械的破砕器具)
    2. バスケット:結石除去用のカテーテルのこと
    3. バルーンカテ:結石除去用のバルーンカテーテル
  8. ERCPとMRCPの違い
    1. IDUS(管腔内超音波検査)
    2. POCS(経口胆道鏡)
      1. IDUSとPOCSの使い分けは?
    3. PTBD / PTCDとは?
    4. EUS-BD / EUS-HGS / EUS-CDS / EUS-GBD
    5. ESWL(体外衝撃波結石破砕術)
  9. ERCPを勉強したい方へ
    1. 研修医・医師向け
      1. 胆膵内視鏡 診断・治療の基本手技 第4版
      2. これで完璧! 胆膵内視鏡の基本とコツ〜“うまくいかない”を解決する目からウロコのエキスパートの技
    2. 看護師さん・技師さん向け
      1. 消化器ナーシング2021年秋季増刊 消化器内視鏡介助&看護 パーフェクトBOOK
      2. 消化器内視鏡技師のためのハンドブック 改訂第8版
  10. さいごに

ERCP関連略語 早見表【全32個】

基本

略語正式名称日本語
ERCPEndoscopic Retrograde Cholangiopancreatography内視鏡的逆行性胆管膵管造影
ERCEndoscopic Retrograde Cholangiography内視鏡的逆行性胆管造影(胆管のみ)
ERPEndoscopic Retrograde Pancreatography内視鏡的逆行性膵管造影(膵管のみ)

乳頭処置

略語正式名称日本語出血リスク
ESTEndoscopic Sphincterotomy内視鏡的乳頭括約筋切開術
EPBDEndoscopic Papillary Balloon Dilation内視鏡的乳頭バルーン拡張術(12mm未満)
EPLBDEndoscopic Papillary Large Balloon Dilation内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術(12mm以上)

胆管の処置

略語正式名称日本語
EBDEndoscopic Biliary Drainage内視鏡的胆道ドレナージ(総称)
EBSEndoscopic Biliary Stenting内視鏡的胆道ステント留置術(プラスチック)
ERBDEndoscopic Retrograde Biliary DrainageEBSと同義(現在は使われない旧称)
EGBSEndoscopic GallBladder Stenting内視鏡的胆嚢ステント留置術
ENBDEndoscopic Naso-Biliary Drainage内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術
SEMSSelf-Expandable Metallic Stent自己拡張型金属ステント
UCSEMSUnCovered SEMSアンカバータイプ金属ステント
FCSEMSFully Covered SEMSフルカバータイプ金属ステント
CMSCovered Metallic StentFCSEMSと同義で使われる

膵管の処置

略語正式名称日本語
EPSEndoscopic Pancreatic Stenting内視鏡的膵管ステント留置術
ENPDEndoscopic Naso-Pancreatic Drainage内視鏡的経鼻膵管ドレナージ術
EPDS(正式名称なし)膵管脱落ステント
SPACESerial Pancreatic juice Aspiration Cytologic Examination連続膵液細胞診

合併症

略語正式名称日本語
PEPPost-ERCP PancreatitisERCP後膵炎

デバイス

略語正式名称日本語
MLMechanical Lithotripter機械的砕石具(クラッシャー)
GWGuidewireガイドワイヤー

関連検査・関連手技

略語正式名称日本語
MRCPMR CholangiopancreatographyMR胆管膵管撮影
IDUSIntraductal Ultrasonography管腔内超音波検査
POCSPeroral Cholangioscopy経口胆道鏡
PTBDPercutaneous Transhepatic Biliary Drainage経皮経肝胆道ドレナージ
PTCDPercutaneous Transhepatic Cholangio DrainagePTBDとほぼ同義
EUS-BDEUS-guided Biliary Drainage超音波内視鏡下胆道ドレナージ(総称)
EUS-HGSEUS-guided Hepaticogastrostomy肝内胆管 ⇄ 胃
EUS-CDSEUS-guided Choledochoduodenostomy総胆管 ⇄ 十二指腸
EUS-GBDEUS-guided GallBladder Drainage胆嚢 ⇄ 消化管
ESWLExtracorporeal Shock Wave Lithotripsy体外衝撃波結石破砕術
EHLElectrohydraulic Lithotripsy電気水圧衝撃波砕石術

日本語にすると、「内視鏡的逆行性胆管膵管造影」です。
なぜ逆行性なのかというと、胆管や膵管の流れとは逆の方向から検査を行うからです。
検査対象となる疾患や処置の内容は、以下のように多岐にわたります。

総胆管結石、胆管炎、胆石性膵炎
慢性膵炎による膵管狭窄
胆管がん、膵癌などによる閉塞性黄疸に対する胆道ドレナージ減黄(げんおう)
膵・胆管がんの進展範囲の検討 etc….

ちなみに、ERCERPといった表現を使うこともあります。
これは、胆管だけを造影して検査・処置する時にERC、膵管だけならERPと表現します。

合併症について
ERCP全体でごく軽度のものから重度のものまで、10-30%前後の確率で起こりうると言われています。基本的には全くないか、「少しお腹痛いかな」、という程度ですが、膵炎出血胆管・消化管穿孔(せんこう:穴が開くこと)が重篤化しやすく重要です。
絶対におこらないよう、常に医師は慎重に丁寧に処置をやっています。

PEP:Post ERCP Pancreatitis (ERCP後膵炎)

ERCPのあと、膵炎が起きることがあります。全国報告や各種文献的には、おおよそ0-20%に発生しうるというのが、私たち医師の認識です。

軽度なものであれば、入院期間は大きく変わりませんが、重篤なものも発生しうるので、その予防は十分な対策が必要です。

最近ではジクロフェナクの坐薬を使用した方がよい、とガイドライン上も推奨がされていますが、実際のところ患者さんに了承いただけなかったり、病院によって方針が異なる場合があります。

適切な予防策については、患者さんごと、病院ごとにことなるので、もしこの記事を見ているのが患者さんであれば、主治医に予防策について相談してみるのが良いでしょう。

抗血栓薬の休薬期間に注意
乳頭処置は基本的に内視鏡処置の中で、高出血リスクに分類されています(EPBDは低リスク)。原則、規定の休薬期間をもうけてから、処置をおこないます。

EST : Endoscopic Sphincterotomy (内視鏡的乳頭切開術)

乳頭を凝固切開装置で切開することです。簡単にいうと、電気メスで乳頭を切って開くということ。

これをする理由としては、結石を出したりステントを入れたりしやすくするため。また、合併症(特にERCP後膵炎)の予防のためです。
乳頭は狭いうえに、胆管と膵管両方の出口でもあります。ステントを入れたり色々やってるうちに、乳頭が浮腫んでしまい、膵炎になると言われています。(諸説あり)

EPBD:Endoscopic  Papillary Balloon Dilation(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)

乳頭を固めの風船で拡張することです。
径が12mm未満のバルーンを使用して乳頭拡張する時にEPBDと表現します。


以下のEPLBDとは違い、出血低リスクに分類される処置で、合併症は少ないといわれています。
これは高リスクと通常の内視鏡検査との間に分類されるので、出血がないというわけではありません

実際のところ結構出血する時はします。使い方を間違えると、胆管損傷を起こすこともあります。

EPLBD:Endoscopic  Papillary LargeBalloon Dilation(内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術)

EPBDよりも大きな、径が12mm以上のバルーンを使用して乳頭を拡張することです。

上のEPBDよりも大口径バルーンを使うので、出血高リスク手技に分類されています。
やらなくていいなら、EPLBDはやりたくないというのが正直なところ。しかし、実際には巨大であったり複数ある胆管結石の治療の際にはやらざるを得ません。

EPLBDの適応は厳密に事前に検討されますので、思ったほど合併症は多くないという印象があります。ただ、決してノーリスクというわけでもありません。

重要なのは絶対に合併症を起こさないよう、慎重に、丁寧な手技を心がける、ということです。

胆管の処置

EBS:Endoscopic biliary stenting(内視鏡的胆道ステント留置術)

胆管にステントを留置する行為自体そのもののこと。
ただ、EBSは最近では、胆管プラスチックステントのことを指します。

カルテ上には「EBS留置」と書かれることも多いですが、この時はプラスチックステントが入っているということです。

なお、ERBDと表記されていても、EBSは同義で使用されています。(が、現在ではもう使用されなくなっている略語です)

EGBS:Endoscopic GallBladder Stenting(内視鏡的胆嚢ステント留置術)

胆嚢内に入れるプラスチックステントのことです。ステントの先端は胆嚢内部、末端は十二指腸に出てきます。

このステントはEBSと同様に抜去・交換することもできます。

EBS、EGBSいずれにも言えるのですが、メーカーからは「2-3ヶ月以内に閉塞する可能性が出てくる」と言われています。交換が必要であれば、この期間を目安として行いますが、絶対に守らなければいけない基準ではありません。

あくまで重要なのは、患者さんの状態に合わせて処置の内容や時期を決めることです。

ENBD:Endoscopic Naso-Biliary Drainage (内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術)

鼻から出てくる胆管チューブを留置することを指します。
そのため、カルテ上では「ENBDチューブを留置した」などと書かれることが多いと思います。

体外へ胆汁を排出することで、

胆管炎などの感染がよくなっているのか?
胆汁中に悪性(がん)細胞がいるのか?

ということを知ることができます。患者さんはしんどいですが、検査および治療する上で、医療者側としては指標にすることができるので、やむを得ない場合は留置します。

膵管に対して行う場合は、ENPD(Endoscopic Naso-Pancreas Drainage)となります。

SEMS:Self-Expandable Metallic Stent (自己拡張型金属ステント)

一般的に、胆管に留置する金属製ステント全般のことを指します。

膵癌や胆管がんによる閉塞性黄疸の患者さんに行う処置として一般的です。
その他に、胃がんや乳がんの転移による黄疸でも行うことがあります。

ちなみにこのステント、24-48時間ほどの時間をかけて拡張してきます。処置後に大体1-2日ほどおなかの違和感が続くことも多く、その症状のことを「ステント拡張痛」と表現します。

UCSEMS:UnCovered SEMS(アンカバータイプ金属ステント)

SEMSのうち、ステントのメッシュ部分がビニールで覆われていないタイプです。
ステントがずれてしまったり、細い胆管を塞いだりしないというメリットが知られています。

しかし、最近では以下のカバードタイプとの比較臨床試験が盛んに行われており、どちらの方がいいのか、世界中の医師が悩んでいるのが実情です。

病院によってFCSEMS,UCSEMSのいずれを使うのかは大きく異なりますし、患者さんの状態に応じて使い分けています
申し訳ないのですが、患者さんの希望でステントの種類を指定することはできません。

FCSEMS (CMS):フルカバー金属ステント

SEMSのうち、ステントのメッシュ部分がビニールで覆われているタイプ

膵癌による閉塞性黄疸ではよく使用されることもあります。

また、胆道出血などの時や、良性の胆管狭窄に対しても使われることがあります。

EPS:Endoscopic Pancreatic Stenting (内視鏡的膵管ステント留置術)

対象疾患
・慢性膵炎/膵癌による膵管狭窄
・膵炎後の嚢胞(症状あり)
・膵管破綻、膵液漏 etc…

特に一番多いのは、慢性膵炎の患者さんで、腹痛などの症状がある膵嚢胞や、主膵管の破綻による膵液漏に対して行うケースです。
こういった場合には、まずはENPDを留置して膵癌の可能性がないか(以下のSPACEのこと)を検討してから、このEPSを留置することになります。

EPDS : Endoscopic Pancreatic Droppable Stenting? (内視鏡的膵管脱落ステント留置術)

最近では割と一般的で知られている用語ですが、実はEPDSは正式名称がありません。
私たちの病院では、膵管脱落ステントのことをEPDSと呼んでいます。

使うタイミングとしては、PEPのリスクが高いと考えられる患者さんで、膵管へガイドワイヤーが留置された方です。PEPの予防として有効とされているので、患者さんによっては留置することがあります。

なお、EPDSは数日もすれば自然に腸管へ落ち、便と一緒に排出される、比較的柔らかいステントです。(が、ごく稀に自然に脱落しない症例もあります。必ず翌日のレントゲンは確認するようにしましょう)

ENPD:Endoscopic Naso-Pancreas Drainage (内視鏡的経鼻膵管ドレナージ術)

EPSのところでも触れましたが、膵管に先端を留置して鼻から管の末端が出るようになっているものです。ENBDの膵管に先端がある版です。

特に早期の膵癌は診断が難しく、膵管狭窄のみの症例もあります。
膵液を体外に排出することで、以下のSPACEにより、がん細胞があるかどうかを確認することで、その患者さんに膵癌が隠れていないかを検査することができます

ENPDチューブは折れ曲がりやすい素材でできています。無理に力を入れたり, 患者さん自身が潰してしまわないように固定方法は気をつけてください。

SPACE:serial pancreatic juice aspiration cytological examination (連続膵液細胞診)

先ほどのENPDチューブから出てきた膵液を採取し、悪性細胞がいるかどうかを確認するものです。

最低5回から10回くらいは採取して提出する必要があります。
なぜここまでやるのかというと、ごく早期の膵癌では、膵液中にはごく少数しかいないからです。たくさん膵液を採取し、検査することで膵癌であった場合に診断ができるようになります。

ML:Mechanical Lithotripter (機械的破砕器具)

クラッシャーカテーテルとも言われます。硬い胆管結石を砕くためのデバイスのことです。
これが出現する機会はそこまで高くありませんが、時々使用するものです。

カルテ上では単に「クラッシャー」と書かれることが多いと思います。
クラッシュするくらいなので、処置中には「ガキン!!」という結石が砕けた感触があります。

砕いた破片が胆管を傷つけてしまう恐れもあるので、注意が必要です。

バスケット:結石除去用のカテーテルのこと

胆管結石を絡めとる、カテーテルです。

総胆管結石の治療の際に使われます。多くの病院でバスケットカテーテルが採用されており、第一選択として使用されることも多いです。

ただ、結石の特徴(大きさや形など)により使い分けているため、後述するバルーンカテーテルとどちらが優れているのか、ということは一概には言えません。

バルーンカテ:結石除去用のバルーンカテーテル

先ほどのEPBDやEPLBDと比べたら、柔らかい風船です。これで総胆管結石を引きずり出す治療のことを、結石除去術といいます。
これで通常の胆管結石の治療は完遂できることが多いです。

ERCPとMRCPの違い

ERCPは内視鏡を使う検査、MRCPはMRIで撮影する検査です。

ERCPMRCP
方法内視鏡+造影剤+X線MRI(造影剤不要だが, ボースデルを内服)
侵襲
治療できるできない
合併症膵炎・出血・穿孔ほぼなし(閉所恐怖症では不可)
位置づけ治療, 病理検体の採取スクリーニング

近年は画像診断の進歩により、検査のみが目的のERCPは減っており、 MRCPで評価してから治療目的でERCPを行う流れが一般的です。
この画像検査で胆管構造を事前に確認してから治療を行う、というフローがスムーズな診療を行う上でとても重要だからです。

IDUS(管腔内超音波検査)

IDUS(Intraductal Ultrasonography)は、細径の超音波プローブを胆管や膵管の中に 直接入れて、管の内側から観察する検査です。

ERCPの最中に、ガイドワイヤーに沿わせてプローブを挿入します。 体表からのエコーやEUSでは見えにくい部分を、至近距離から評価できるのが強みです。

主に使う場面は、

  • 胆管狭窄が良性か悪性かの判断
  • 胆管癌の壁内進展(どこまで広がっているか)の評価
  • 造影CT,MRCPで写らない小さな結石や、CT陰性結石の確認

POCS(経口胆道鏡)

POCS(Peroral Cholangioscopy)は、内視鏡を通して細いスコープを胆管の中に入れ、 胆管の内側を直接「見る」検査です。

さまざまなデバイスがありますが、例えば商品名「SpyGlass DS」は現場で「スパイ」と呼ばれます。
普段は胆道鏡、POCS(ポックス)、スパイ、などと呼びます。

造影やIDUSが「間接的に推測する」検査なのに対して、 POCSは肉眼で病変そのものを見られるのが決定的な違いです。 さらに、専用の鉗子で狙った場所から生検(ターゲット・バイオプシー)もできます。

使う場面は、

  • 胆管狭窄の鑑別で、細胞診が陰性でも悪性が疑わしいとき
  • 胆管癌の場所を確認するとき(範囲ではない)
  • 通常の方法で砕けない難治性結石に対して、 EHL(電気水圧衝撃波砕石術)やレーザー砕石を行うとき

IDUSとPOCSの使い分けは?

これも結構多い質問ですが、大きく分けて以下の通り。

POCSは結石の治療、病変を直接みながら生検ができる一方、がんの病変範囲を確認するのはIDUSの方が優れています。(POCSは胆管の狭窄部を通過できないことが多いため。)


PTBD / PTCDとは?

PTBD(Percutaneous Transhepatic Biliary Drainage)は、お腹の外から肝臓を通して 胆管を直接穿刺し、チューブを入れて胆汁を出す処置です。

PTCD(Percutaneous Transhepatic Cholangio Drainage)もほぼ同じ意味で使われます。 施設によって呼び方が分かれる略語のひとつです。

ERCPとの一番の違いは、内視鏡を使わず、体の外からアプローチする点です。

ERCP(EBS/ENBD)PTBD/PTCD
アプローチ口から内視鏡体表から穿刺
チューブ体内に留置/鼻から出るお腹から出る
主な適応第一選択ERCPが難しいとき
患者さんの負担小〜中

選ばれるのは、

  • ERCPで乳頭から胆管カニュレーションができないとき
  • 術後再建腸管などで、内視鏡が乳頭まで届かないとき
  • 全身状態が悪く、内視鏡が難しいとき

看護的には、体外にチューブが出ているので、固定・排液の観察・ 自己抜去の予防が重要になります。


EUS-BD / EUS-HGS / EUS-CDS / EUS-GBD

EUS-BD(EUS-guided Biliary Drainage)は、超音波内視鏡を使って胃や十二指腸の 壁越しに胆管を穿刺し、そこにステントを置いて胆汁を流す方法です。
HGS,CDS,GBDというのはそれらのアプローチ方法の違いということです。(GBDは胆嚢です.)

ERCPが不成功だったときの選択肢で、以前ならPTBDをしていた症例から置き換わりつつあります。体外にチューブが出ないのが最大の利点です。穿刺する場所によって呼び名が変わります。

略語正式名称どこをつなぐか
EUS-HGSHepaticogastrostomy肝内胆管 ⇄ 胃
EUS-CDSCholedochoduodenostomy総胆管(or胆管) ⇄ 十二指腸
EUS-GBDGallbladder Drainage胆嚢 ⇄ 消化管

いずれも高度な手技で、実施できる施設は限られます。


ESWL(体外衝撃波結石破砕術)

ESWL(Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy)は、体の外から衝撃波を当てて、 体内の結石を砕く治療です。

消化器内視鏡の領域では、主に巨大な総胆管結石、胆嚢管結石、そして膵石に対して行われます。 硬く大きな結石は内視鏡だけでは砕けないため、ESWLで細かくしてから ERCPで回収する、という組み合わせが一般的です。

腎結石・尿管結石で使われるイメージが強いと思いますが、 慢性膵炎に伴う膵石の治療でも重要な選択肢です。

ERCPを勉強したい方へ

そしてこれは看護師・技師さんだけでなく、研修医や同僚の医師(外部病院へ出向する前)に

「ERCPやEUSはどうやって勉強すればいいですか?」

と聞かれますので、おすすめ書籍をご紹介しますね。

研修医・医師向け

胆膵内視鏡 診断・治療の基本手技 第4版

東京医大の糸井先生編集。これは処置前の鎮静、ポジションの話から、各手技内容についてポイントも含めて学ぶことができます。実際の処置画像だけでなく、動画もwebで確認できるのでこれをみればスキルアップできます!


これで完璧! 胆膵内視鏡の基本とコツ〜“うまくいかない”を解決する目からウロコのエキスパートの技

近畿大学の竹中先生編集です。
乳頭カニュレーションに重要なのはCD法など、初学者がつまづきがちなポイントを押さえて、手技を上達させる近道を教えてくれる一冊。

これをもとに、自身の研鑽を積むことで多くの手技ができるようになりましたので、これもおすすめ!

看護師さん・技師さん向け

消化器ナーシング2021年秋季増刊 消化器内視鏡介助&看護 パーフェクトBOOK

これは内視鏡検査・治療全般の知識や介助方法について網羅的にまとまっています。画像も豊富ですので、この記事と合わせて読んでいただければ、イメージを掴みやすいと思いました!

消化器内視鏡技師のためのハンドブック 改訂第8版

内視鏡技師の資格取得を目指す方向け。ボリュームが多いですが、消化器内視鏡学会、消化器内視鏡技師制度委員会がそれぞれ監修しているオフィシャルブックです。
今回のERCP関連処置についてだけでなく、内視鏡のモードや洗浄方法など、ありとあらゆる内容が網羅的に記されています。こちらもぜひお手に取ってみてください。

いかがでしたか?この記事がみなさんの役に立てれば幸いです。

これ以外にも略語は実はあるのですが、もしもここで紹介したもの以外で、わからないものなどがありましたら、コメントで教えていただければ幸いです。

胃カメラ、大腸カメラの略語はこちらの記事も参考にしてみてください。↓

おわり

dr-infoblog

30代の消化器内科医・内視鏡専門医。普段は某病院で消化器がんの診療・研究をしています。妻と子供2人の4人暮らし。地元の公立小中学を卒業し、私立大学医学部を奨学金利用し卒業。20年間のauユーザー、趣味は旅行と最近はブログ。海外へ行きたい。そんな医師の日常を記事にします。不定期更新。

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