普段私は病院に勤務していて、週1回の外来診察と病棟患者さんの診療をやっています。
周りには多くのスタッフがいる職場なのですが、外来診察の時に「孤独」を感じることがあります。
なぜそう思うのか、そして、この感情の原因はなんなのか、少し考えてみました。
孤独の原因2つ
① 患者さんが目の前にいるという責任感
診療というのは、目の前の患者さんの健康や命を、医学を通じて守るというものが医療の目的で、大きな責任を伴います。ただ、本来は「苦痛」をとるというのが本質的な目的。
そこには医学という客観性が介入する必要があります。
特に生命や患者さんの健康に関わる重篤な疾患が起こりうる場合など、自分自身の説明次第で患者さんの治療や病気に対する印象が大きく変わります。
最悪の場合、必要な検査や治療を受けてくれなくなる可能性があるため、そこに「怖さ」を感じます。
実際には診療をやっているうちに良くも悪くも「慣れ」てくるのですが、
医師としての責任感を維持していくために、「怖さ」を忘れないようにすることが重要です。
② 誰も助けてくれないような感覚
目の前にいる患者さんについて、他の医師の同僚や上司に相談しても、
先生がそう考えるなら、そうなんじゃないかな?
という意見が多くなってきます。
それは周囲からの信頼の裏返しなのかもしれませんが、やはり批判的意見やアドバイスが少なくなってくると、
「自分の診療は間違っていないのだろうか?」という心配になることもあります。
患者さんを診察する以上、それなりの研鑽は積んできているつもりなので、
「少なくとも間違っていない」
と信じて診療をやっていくしかありません。
孤独ではない、周りの力を借りていい
私は同僚や上司だけでなく、困ったら看護師さんや薬剤師さんといった、別の専門家に意見を聞いて助けてもらったりすることも多いので、その存在はありがたいです。
これは人によっては情けない、と感じるかもしれませんが、私はそうではなくて
患者さんの診療の質を担保できるのであれば、周りに意見を求めるべきだと思います。
なので、
周囲に助けを求めていい
一人で患者さんの診療をしなくてもいい
という認識を持つことが「孤独」に対する解決策の一つなのかもしれません。
つまり、これはとても難しいことだと思いますが、
周りから意見を言ってもらえるような人間であろうとすること
が大事なのだと思います。
上司や開業医の「孤独」とは本質的には違う
クリニックなど開業の先生方、病院のもっと上の先生方は病院経営や人事など、さまざまな問題に対応しなければならないため、もっともっと孤独を感じられれていると思います。
それはやっている人にしか分からない、想像を絶するものでしょう。
「孤独」=「怖さ」だが一人ではない
今回記事を書いていて、診療中に感じるのは孤独というよりは怖さ、という表現の方がいいのかもしれません。
ただ、この「怖さ」というのは医師として働く上で重要な要素だと思います。
それは、患者さんへの責任感の裏返しでもあるからです。
また、自分もだんだんと歳を重ねていき、将来的に色々なストレスフルな業務が増え、もっともっと孤独を感じることになると思います。
必要があれば周囲に助けを求める
さまざまな意見を受け入れられるような柔軟性をもつ
これらが今後の医師生活で重要なスキルの一つだとこの記事を通じて感じました。
これからの医者人生で忘れないようにしようと思います。
おわり
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