結論
「中等症から重症(やや中等症より)の胆管炎に対しては、
4日間の投与が8日間の投与期間に対して非劣性」
が結論です。
比較的軽い感じの重症、中等症に対しては適切なドレナージができれば4日間でもいいという内容です。
現行の東京ガイドライン18では「感染源がコントロールされたあと4-7日間」
と言及するにとどまり、結局入院してからどのくらいがいいのかというのがよくわかりませんでしたが、
胆管炎の抗菌薬投与期間に関する論文がAJGから出ていたので、参考までにご紹介します。
感想
中等症から重症患者における比較試験なので、普段の症例でかなり参考になる結果だと思います。
抗菌薬は患者によっては、4日間に短縮することができる場合がある、という内容です。
ただ、必ずしも全ての胆管炎患者において当てはめられるものではありません。
”除外基準”にも注意がです。
必ずしも全ての重症胆管炎患者が含まれていない、という点には注意。参考までに。↓
昇圧剤を使用した重症例、胆管ドレナージ不十分が想定される症例、GCS≦8、肝膿瘍やIEなどの長期間抗菌薬投与が推奨される合併症がある症例、免疫不全が予想される症例(PSL>10mg, 免疫抑制薬)、膵炎の合併例、敗血症、妊婦、患者拒否
論文アブスト簡単に
Srinu D, et al.
Conventional vs Short Duration of Antibiotics in Patients With Moderate or Severe Cholangitis: Noninferiority Randomized Trial.
Am J Gastroenterol. 2024 Jan 1;119(1):176-182
CD: conventional duration(通常投与期間群) および SD: short duration(短縮投与期間群)で治療効果についてSDのCDに対する非劣性の証明を目的とした、単施設の前向きランダム化比較試験
CD:8日間投与 vs SD :4日間投与
primary outcome: clinical cure (=胆管炎が30日間再発しないこと、15日目時点での50%以上のビリルビン値の低下)
secondary outcomes: 入院後30日までの間の抗菌薬の投与期間、入院期間、抗菌薬の有害事象、30日以内の死亡数
結果:
N=120人、年齢平均55.83±13.52歳、50%が男性。
悪性腫瘍患者は51.7%で、中等症胆管炎の患者は76.7%
clinical cureの達成率に有意差はなかった (CD:79.66% (95% CI, 67.58%-88.12%) vs SD:77.97% (95% CI, 67.58%-86.58%), p=0.822)
(本文中ではper-protocol 解析あり、そこでも85-89%ほどで有意差ない)
多変量解析で悪性腫瘍、低血圧患者が予後不良と関連していた。
抗菌薬の投与期間はSDで有意に短く(8.58±1.92 vs 4.75±2.32 days; p<0.001)、
入院期間と死亡数は両群で同等であった。
考察:
中等症から重症患者において、抗菌薬の短縮は通常投与群に比較して治癒、再発、総死亡の点からは非劣性であることが示された。
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