高山病で下痢をした時の話
学生時代、山に登って山小屋で診療を行う、山岳診療部に所属していました。
先輩医師の指導のもと、登山中に具合が悪くなった方の診察をして、
治療を自分で考えるという活動がメインです。
高山病で受診される方が大多数でした。
大学6年生まで毎年3000m級の山に登っていたのですが、
大学3年生のとき、ついに私自身が高山病にかかりました。
登山スケジュールはどうだったか
前日までの体調は万全であり、
登山スピードも遅くも早くもなく、
みんなと会話しながら登山していたのですが、、、
だいたい2300-2500m付近から、だんだんと身体がけだるくなり、
山小屋へ着いたあとから、なんだか頭がぼうっとしてきました。
そのあと、徐々にお腹が痛くなってきて、
水様便が1日に15-20回ほど出るようになりました。
症状の経過から、上級医の先生から
高山病による下痢
と診断されました。
対処法は?
特に治療法はありません。しかも、1週間の滞在です。
私自身ができたことといえば、
- 何とか食べられる食事を食べる
- 水分を多めにとる
- 排便は便意に任せる
といった程度です。
山小屋にも下痢止めのタンナルビンはありましたが、無効でした。
仕方ないので何とか気合で1週間を乗り切り、下山の日を迎えました。
下山の道中にトイレはほとんどありませんので、
ロペミンという、比較的強力な下痢止めを先輩が持っていたため、
それを飲んだところ、比較的すぐに便意がおさまったため、下山を開始しました。
しかし、途中で何度か便意に見舞われ、最終的に行程の70%程度のところで、
「お花摘み」をしました。(注釈あり)
環境面からは本当にいけないことですが、やむをえませんでした。
もちろん、紙や回収できる物質は回収し、
下山後に宿から許可を得て廃棄しました。
ちなみに、下山してから症状はなくなりました。
この時点で下痢が高山病によるものであった、と確定診断となりました。
注:「お花摘み」とは、野外排泄のこと。環境管理の面から避けるべき。また、登山道を外れて摘むこともあるので、場所によっては滑落や遭難のリスクもあります。
教訓:登山の時に下痢止めがあったほうがいいかも
この登山で得られた教訓は、
「登山の時には下痢止めも携行すべき」
という点です。
下痢止めは普段から下痢をしやすい方だけではなく、
そうでない人も傾向した方がいいかもしれません。
一般的には高山病に対する痛み止めが推奨されることも多いですが、
今回の経験から、3000m級の登山の際には
下痢止めも持って行った方がいいと感じました。
もちろん、薬だけでなくて
日ごろから体力作りをしておく
前日までは休息をしっかりとる
登山のスピードや荷物の重さなどを自身の体力に合わせる
無理のない登山計画をたてる
などの調整が大前提です。
登山は自然を相手にしていますので、何が起きるか分かりません。
また、体調変化があっても、自力下山が原則です。
すべて自己責任になりますので、
自然を楽しむためにも、準備を万全にしましょう。
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高山病にかかっておきながらこの記事を書くとは、あまり説得力ありませんね。
どなたかの参考になれば幸いです。
おわり
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