座りションのデメリット:人によって残尿のリスクあり!論文交えて解説

健康・サイエンス

立ちションvs座りション

私自身、どちらのスタイルでいくのかを模索する記事。

今回は「排泄の機能面」から座りションと立ちションについて評価している論文を見つけました。

立ちションと座りション、どちらがいいのか、自分の排尿スタイルを探っていきます。

論文はこちら↓

de Jong Y, et al. Urinating standing versus sitting: position is of influence in men with prostate enlargement. A systematic review and meta-analysis. PLoS One. 2014 Jul 22;9(7):e101320. doi: 10.1371/journal.pone.0101320.

結論:基本どちらでもいいが、立ちションが良い人もいる

男性にとっては健康成人なら立ちションでも座りションでも、ぶっちゃけどっちでもよい

前立腺肥大症がある人なら、座ったほうがいきみにくいため、残尿が増えてしまうため、立ちションの方がいい結果でした。
それは言い換えると、
尿管結石や腎盂腎炎、膀胱炎といった、おしっこ関連の病気のリスクが増加する、ということです。

前立腺肥大症とは?

前立腺は尿路の中で、膀胱から尿道口(尿の出口)の間にある臓器で、尿の通り道を滑らかする作用があります。
年齢とともに前立腺は大きくなってくるため(これを肥大といいます)、尿の出にくさを感じるようになります。これが、前立腺肥大症です。

前立腺肥大があると、尿の勢いが弱くなり、尿の流れが滞ります。
すると、尿中の成分の影響で、尿管結石ができたり、感染を起こしやすくなるのです。

今回の論文では、立ちションの方が尿の速度が早くなるため、前立腺肥大の人にとっては座りションの方が尿が停滞しにくい、という結論となっています。

つまり、男性にとって立ちションは、
排尿の本来の目的である「不要物の排泄」という点で、自然だということです。

注意点:排尿後のスッキリ感について言及なし

ただ、今回の検討では「残尿感」については記載はありません。

つまり、オシッコのあとの「すっきり感」にまで影響するのかは明確なことは言えなかった、ということです。

また、立ちションのときに「尿の流速が速くなる」、ということはつまり、

「立ちションで周りにしぶきが飛び散る」ということ。

尿のしぶき飛び散りに関する研究はいくつかあるので、他の記事で取り上げています。↓

今回の論文だけでみれば、立ちションに軍配

しかし、基本的には座ったほうが掃除楽だしいいのかもしれないし、
そもそも前立腺肥大症のない自分が立ちションを家でも続ける理由にはなりませんでした。

もうすこし、今後も立ちションを続けていくのかは考えてみようとおもいます。

論文の概要紹介

【背景】

LUTS(下部尿路症状)を有する患者においては、排尿ルートの閉塞が指摘されており、排尿時の挙動(=urodynamics)への影響が示唆されている。本論文においてはシステマティックレビュー論文、またメタ解析を用いることで、健康およびLUTSを有する男性患者における排尿時の姿勢が、最大尿流速(Qmax)、排尿時間(TQ)、そして残尿量(PVR)にどのように影響するのかを評価した。

【データの集積】

14の医学データベースからシステマティック研究が収集され、立位と座位におけるurodynamicsについて言及している論文が組み入れられた。また、各研究論文では健康成人とLUTSを有する男性とによって層別化された。ランダムエフェクトモデルで各パラメーターのSMD(standardized mean difference)を算出した。

【結果】

11編の研究が組み入れられた。LUTSを有する患者では、著明にPVR が立位と比較し座位において低下していた(-24.96ml; 95%CI [-48.70 to -1.23] )。また、同様に座位ではLUTS患者において。また、最大尿流速は増加し (1.23 ml/s; 95%CI [-1.02 to 3.48]),残尿量は低下していた(-0.62 s; 95%CI [-1.66 to 0.42]) が、有意な差はなかった。

健康成人においては、立位と座位とにおいて、各パラメーターに変化は見られなかったQmax (0.18 ml/s; 95% CI [-1.67 to 2.02]), TQ (0.49 s; 95%CI [-3.30 to 4.27]) and PVR (0.43 ml; 95%CI [-0.79 to 1,65]) 。

【結論】

健康成人においては排尿パラメーターの変化はなかったが、LUTSを有する患者においては座位が排尿プロファイルの改善に寄与していた。

(著者翻訳)

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