ChatGPTを使った国際学会ポスターの準備は時短になるが注意も必要

雑記帳

海外学会の発表準備は大変

国際学会の発表では、ただ研究内容を説明するだけではなく、聞き手に応じて30秒から4-5分くらいまで、スピーチの時間も調整しなければなりません

また、自然な英語を使用し、かつ簡潔に研究内容を伝える必要があるのですが、
ここが私たち純ジャパ医師や研究者にとっては最大の課題です。

日々の診療をしながら、かつ英語の発表資料や原稿を作るのは本当に大変ですよね。

先日私が実際に海外発表(ポスター)をした際にChatGPTを使って準備をしたのですが、
めちゃくちゃ時短になったので記事にしました。

いくつか注意点とともに、これからChatGPTで学会発表のスピーチ原稿を作ろうとしている方にとって、参考になれば嬉しいです。

なお、この記事のトップ画像もChatGPTで作成しました。

前提①:発表資料や原稿作成の際、患者情報などの個人情報はChatGPTには絶対に載せてはいけません。

前提②:ChatGPTはしばしば嘘をでっち上げます。正しい内容にするのは私たち人間の仕事です。もう一度言います。生成AIは優秀ですが、万能ではありません。


ChatGPTの利用法:4ステップ

今回の発表準備は以下のステップでおこないました。 以下のステップを繰り返すことで、いい原稿が仕上がってきます。

背景・方法など文字で表記してあるものをWordに入力する

発表資料(ポスター)は、みなさんPowerPointで作ることが多いと思います。

ChatGPTにプロンプト(何を欲しいかをお願いする文字、文章のこと)を入力する時に、Wordへイントロ、メソッドなどは直接入力しておきます。そして、スピーチ原稿を作ってください、とプロンプト打てばok。

Table, Figureはそのままコピペでok

比較的単純な図表であれば、それをコピペしてChatGPTに説明文を作成するようにプロンプトを打てばokです。

ただ、複雑なものやウエスタンブロットなどの定性評価の結果などであれば、その結果の解釈などの解説文を入力する必要があります

発表原稿をスピーチの時間に合わせて作る

上記の内容からスピーチ原稿を作成するようにプロンプトを打ちます。

ポスター発表の場合、だいたい30秒−5分以内の発表時間になると思いますが、それぞれの時間に合わせて、ボリュームを増やしたり減らしたりした原稿を作ってくれます。
ただ、このスピーチの所要時間も結構アバウトです。
実際に喋ってみて、どのくらいの時間になるのかをきちんと確認するようにしましょう

作成された原稿を修正

また、この段階で作成された原稿は、実際の結果と解釈すべきポイントがずれていることも多いです。繰り返しになりますが、内容の間違いは自分自身で修正する必要があります

そして、自分自身があまり使わないような英語表現は、自分の英語に書き換えるか、もしくはその表現を自然に使用できるように英英辞書も活用してニュアンスを確認する必要があります。

あくまで発表するのは私たち人間ですので、馴染みのない英語は使えません。


ChatGPTを使ったメリット

時間が圧倒的に短縮

作成自体は数分で終了しました。自分でやっていた場合は1-2時間はかかったと思います。

英語表現が自然になり、勉強になる

難解な単語や表現はないものの、論文でよく見かけるような表現になっていました。また、自分では使わない表現があるため、新たな発見がありました。

ChatGPTを使ったデメリット

自分で考えない

自分の頭で考えて捻り出した内容ではないので、英語力は全く伸びません。自分で悩んで出したものほど、勉強になるものはないな、と改めて実感しました。

結局自分で作り直さなければならない

予想していたもの、作りたいと思っていたものとの違いもあり、また誤植もちらほらあります。
結局は自分自身の目でみて、確認するという作業が必要です。


生成された内容の注意点

今回は学会発表の原稿を作る際に使用しましたが、以下の点に注意が必要です。

生成された文章・画像の著作権は自分たちにある

まず、ChatGPTの利用規約には、生成された著作物の権利は私たちが保有することになっています。

そのため、オリジナルで入力したプロンプト、生成物には私たちに権利があるようです。

生成の過程で著作権違反になることも

しかし、ChatGPTなどの生成AIでは文章・画像を生成するとき、ネット上にある既存の著作物を勝手に引用している可能性があります。つまり、そのまま載せると著作権法違反になる可能性があります。

類似画像や、テキストについては必ずgoogle検索やAi生成物に関して類似性、依拠性がないか、サービスを利用することも必要です。
もしもそのまま利用する場合には、著作者の承諾が必要になります。

個人情報は載せてはいけない

もちろん、患者情報はChatGPTのプロンプトにも含めてはいけません。
個人情報の取り扱いについては、きちんと各医療機関や学会におけるガイドライン、倫理委員会の指針に準拠する必要があります。


結論

「ChatGPTを使った発表準備」は私たちでは思いつかないような英語表現、図表の整理の仕方などを提案してくれる、良き相棒です。
しかし、一方で単なる時短ツール以上のものではない、という認識が必要です。

さらに、時々嘘をでっち上げますので、必ず最後は自分自身の責任になりますので、注意しましょう。

今後は面倒な研究会のスライド作成などの時にも利用していこうと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました😊

コメント

タイトルとURLをコピーしました