幼稚園の頃、課外授業で漢字の勉強をしていました。
この「足るを知る」という言葉にであったのも、この頃だったと思います。
当時はもちろん、意味はよくわかっていませんでしたが、最近になってわかったような気がします。
この記事のアウトライン
「足るを知る」とは?
お金への欲求
収益優先の医師に対して思うこと
投機的投資について思うこと
普段の何気ない日常が素晴らしい
私自身のお金との向き合い方
「足るを知る」ということは「自ら充足した状態を作り出す」ということ
この言葉は老子にある言葉で、
自分に与えられているものに対し満足し、それ以上を欲しがらない心の状態のことを指します。
物質的な豊かさだけではなくて、精神的な豊かさを大切にするということ、それらを妨げる欲望を抑えることが、幸福な人生を送るために重要だということです。
つまり、他人から与えられる、自分でコントロールできるものではなく、
自分自身でしか自分に与えられない、自分でコントロールできることにこそ、本当の幸せがあるのだという意味なのだと今となって考えるようになりました。
お金への欲求は際限がない
投資に関する記事を書いていたら
なぜ、人はお金を増やそうとするのか?
一体いくらお金を増やせば投資は終わるのだろうか?
とふと思いました。正直、お金はいくらあっても足りないし、たくさんあればあるだけいいですよね。そして、減るのも怖いし、そうするとまた増やしたくなって、という循環に陥ります。
お金が多い、少ない、というのは他人と比較してたくさん持っているかどうか、という相対的な評価です。
自分自身でコントロールできないものであり、際限のないお金持ち競争が永遠に続くのは仕方のないことなのかもしれませんが、
そのお金持ち競争がいき過ぎた結果、医療界でも収益ばかり追い求める人が出てきているのは事実です。
収益を追い求める医師がいるという事実
患者さんの診療ではなく、収益をあげることが一番の目的になっている医師が世の中に多くいます。
患者さんの時間とお金を無駄にするだけの高額な自費診療を公然とやっている施設があるのも事実です。
大抵の場合、そういう施設はホームページは綺麗で、表面的には一見して魅力的にうつります。
しかし、彼らの本当の目的はなんなのか?
お金儲けが一番だと思います。
もしかしたら、そのサービスを提供することで本当に患者さんをよくしたい、と考えている人もいるのかもしれませんが、
本当の目的は知る由もありません。
少なくとも私たち医師の仕事は、収入を得ること自体を目的とするのではなく、
「医学に基づいて医療、患者さんに対して真摯に向き合う」というのが基本原則だと思いますし、
これだけは崩してはいけないと感じます。
投機的投資に対する疑問
お金を一気に増やせるとしたら、投機的投資だと思います。
1銘柄に全額注ぎ込むとか、ビッドコインだけ持っておくなど、そういうお金の注ぎ込み方です。
正直、お金が急に増えればいいのにな、と思うこともありますが、そうするためには
日々のチャート値動きが気にしなくてはならず、
「もっと高く売れたのに、、、」
「もっと安く買えたのになあ」
と毎日考え、「もっともっとお金を増やしたい」と日々売買のタイミングを考えることになってしまいます。
デイトレーダーや投資の世界の方にとっては日常でも、
そうでない私たちにとって、平日日中にそんな株などを売買している時間はありませんし、
お金のことで頭をいっぱいにしていることは精神的に不健康であり、
生活を楽しむ、よりよくするために投資をやっているのに、結果として自分自身を追い込むことになってしまいます。
日常生活で幸せを見つけることが大事
私は普段の仕事で、がん患者さんの診療を入院、外来の両方で行っています。
特に膵臓がんや胆管がんといった、消化器がんの中でも予後の悪い患者さんの抗がん剤治療を受け持つことも多いです。
こういった患者さんと出会い別れを多く経験するなかで、
すべての人はみな平等に例外なく人生は有限だということをいつも実感します。
そして、この患者さんたちからはいつも、
普段の生活ができていたことが、いかに素晴らしいことなのか
ということを教えてもらいます。
この関わりのなかで、
自分の人生の中で優先して時間を割くべきは、家族や友人との何気ない日常に対してだと感じるようになりました。
そうすると、普段の何気ない日常が幸せだと感じることができますし、
それがお金よりも大事だと思えるようになりました。
足るを知る、そして、、?
老子には「足るを知る」の続きがあります。
「足るを知るものは富み、強(つと)めて行う者は志有り」です。
満足することを知っていることが本当に豊かな人間であり、自身の目標に向かって努力を続けることができる人は、それだけで志(目的)を達成している
というように解釈できます。
資産形成も同じで、
お金を増やすこと自体が目的ではなく、日々の生活をよりよくするために、個々の目的に向かって日々努力する、ということが重要だというように捉えることができます。
「足るを知る」から考えた、私自身のお金との付き合い方
「足るを知る」という言葉の意味を実感できたおかげで、最近は
「お金は自分自身や家族の生活を支えてくれる道具、様々な経験をさせてくれる手段」
にしか過ぎないと感じるようになりました。
しかし、お金がなければ現代社会で生きていくことはできないこともまた、事実です。
お金は突然急に降ってくるものではありませんし、急に必要になるものです。
適度な距離感をもちつつ、自分や家族が困らないよう、これからもお金について勉強は続けていこうと思います。
今後の私自身の自戒の言葉として、「足るを知る」を胸に刻んでおこうと思います。
おわり
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