「立ちションか、座りションか?」
この永遠ともいえる議論について、このブログを通して勉強し、
自分の小便スタイルをエビデンスをもとに確立していこうと思っています。
以前の記事では「前立腺肥大があれば、立ちションの方が尿路結石などのリスクを下げられる」という内容でご紹介しましたが、
今回は
健康な人が立ちションをするときのデメリットはなんなのか?
という視点で、論文を通して考察していきたいと思います。
結論
研究の時代背景
この論文は2022年のものであり、コロナ禍真っただ中でした。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)がどういった経路で感染を広げていくのか、という研究が盛んにおこなわれていた時代です。
結論とこの論文のメッセージとしては、
① 立ちションでウイルス粒子がトイレに拡散しうる
② 便器の上は、コロナの感染源になる可能性がある
というものでした。
立ちションでウイルス粒子が拡散する
この論文中では、だいたい空気中には
50秒間、最大で1.5mほどまでウイルスが舞い上がっていることが証明されていました。
ウイルス粒子というよりは、おしっこの時のミクロな水しぶき(エアロゾルともいう)が、空気中に漂います。
これらは重さがあるので数分すれば地面や壁にに落ちて付着しますが、
一部の粒子は長時間、トイレの中に漂うことが考えられます。
ホテルでの注意点
ホテルでは、便器の上のスペースにバスタオルなどが置いてあるところも多いと思います。
今回の研究では、舞い上がったおしっこの粒子がそのタオル類に付着することで、人から人へ感染する可能性がある、と考察しています。
しかし、現在ではそんなことは起こらないと考えられますが、コロナ禍の研究でしたので、便器とタオルを置く位置とは話しておいた方が、いいのかもしれません。
壁や地面に付着したおしっこ、処理は男の責任!
こうして飛び散ったおしっこ粒子がトイレに匂いを残すのは、いうまでもありません。
この匂いをよくするために芳香剤を使うのもいいですが、
トイレの壁や床もきちんと掃除しなければいけません。
昔、関根勤さんが出ていたトイレクイックルか何かのCMで、
トイレのふちの汚れは、男の責任!
といって子役とともにトイレを掃除をするものがありました。
確かにそうなのですが、
トイレの壁、床など、尿の跳ね返りによる汚れ、匂い全般は全て男の責任!
というのが、今回の論文からは指摘できそうですね。笑
個人的に残る疑問
「おしっこは洋式便器の中の水に直接出すのか、それとも水のない、ふちの部分に出せばいいのか?」
といった内容には触れていませんでした。
世の中の男性で、水飛沫が飛ばないようにふちの部分におしっこしている人も多いと思います。
上記については、またさらに論文探してみようと思います。
専門外の論文もおもしろいですね。
さいごに論文紹介、和訳 (一部意訳あり)
Cao X, et al. On male urination and related environmental disease transmission in restrooms: From the perspectives of fluid dynamics.
Sustain Cities Soc. 2022 May;80:103753.
屋内におけるCOVID-19感染は十分に起こりうる。多くの情報源から、SARS-CoV-2がトイレ内で同定されており、トイレ内でのウイルス感染の可能性がある。
しかしトイレ内の感染経路、メカニズムについては不明な点も多く、その理解が下水を介したSARS-CoV-2の感染を抑制し、さらには世界中のパンデミック終息に寄与するかもしれない。
過去の報告では咳、くしゃみ、トイレを流すときなどの単純な日常生活動作が、ウイルス伝播にどのようにかかわているのか、という点について触れていた。
この報告では男性の「立ちション」による、ウイルス粒子が拡散される挙動について検討を行った。
男性の尿は乱流を形成し、液面との衝突速度は平均で2.3m/sだった。その後、粒子は0.75-1.05m/sほどの速度で空気中に舞い上がる。SARS-CoV-2に限らず、様々なウイルスが拡散されうる。
また、空気中に広がる粒子は3倍ほどでだった。
この結果から得られる内容としては、トイレにおけるウイルス拡散の予防策を広く一般に周知、普及されることで、COVID-19の終息に寄与するであろう。
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