サウナに医学的有効性はあるのか?論文紹介

今回の論文↓

Hussain J, Cohen M. Clinical Effects of Regular Dry Sauna Bathing: A Systematic Review. Evid Based Complement Alternat Med. 2018 Apr 24;2018:

PubMedなどで検索してみてください。全文が閲覧できます。

なお、これは雑誌名にもあるように、医学王道の治療を扱うものというよりは、代替治療に関する研究論文を扱っている雑誌です。初めてこういう論文があることを知りました。

この論文は単一の研究のみではなく、複数論文をまとめたものです。(=レビュー論文)

すべての試験は医師監修のもと行われています。

各試験における方法の概要としてはだいたい以下の通り。

  • 時間:1回あたり5分から20分ほど、合計で30分から4時間
  • 頻度:毎日または週に数回
  • 期間:3日から5ヶ月(5-20年のものもある)
  • 温度:80-90℃、50-65℃、ものによっては40-45℃とまちまち
  • 湿度:10-30%ほど

効果としては、線維筋痛症や慢性疲労、関節リウマチや自己免疫性疾患の患者さんの症状改善効果もそうですが、

驚いたのは、慢性心不全の患者さんが対象であったり、小数例ですが新生児のVSD(心室中隔欠損)の改善など、考えたこともないプラスの結果が報告されていたことです。

運動した後のようなホルモン分泌も起きているため、気持ちよいと感じるようです。

ただ、VSDについては自然閉鎖が期待できるので、科学的と言っていいのかは微妙です。

このように、いくつか気になる点はある一方で、少なくとも

「整った状態」であることが人体にとってはプラスに働いている、

ということが医学的に明文化されたということが衝撃です。

もちろん、体調の悪い人や、心臓や脳の病気、医師から止められている人など、

サウナに入らない方がいい人もいますし、

必ずしも良い効果が全員に出るというわけではない、ことに注意が必要です。

副作用として精子の産生能力が低下する、

というものもありますが、

サウナをやめれば改善する、と記載がありました(=可逆性がある)ので、特に安全性に問題があったわけではなさそうですが、

今回の論文に限って言えば、そもそも水風呂に入るという介入はなかったんです、、笑

つまり、サウナ→水風呂 という流れにはそれなりのリスクを伴う

という点は皆さん知っておく必要があると思います。

結論として、

体調の悪い方、妊活を頑張っている方

はサウナに入るべきではないですが、

興味がわいた方、

この機会に整ってみませんか???

導入:サウナ(ここでは”regular dry sauna”)の効能については個人や施設の報告レベルで指摘されているが、医学的エビデンスは十分ではない。この論文は近年の研究でドライサウナを繰り返し入ることによる影響を調査した近年の論文を体系的にレビューし報告する。

手法:いわゆる「サウナ」の人体に対する健康面の影響について報告している研究をもとに、解析を行った。バイアスのリスクについてはCochrane Collaborationガイドラインに準拠し評価がなされた。

結果:40の臨床研究で3855人が今回の検討において適格基準を満たした。13編の研究のみがRCTだったが、大半がn<40の少数例におけるものだった。健康への正のアウトカムは(良い結果)は研究により異なっており、1つの小数例の研究(n=10例)のみが負のアウトカム(副作用)として精子の産生能低下について言及していたが、サウナをやめれば回復するため、この副作用は可逆性であったという。

結論:サウナは健康面に良い結果をもたらす可能性がある。副作用の頻度や程度に関しては、より多くの質の高い研究による検討が必要である。サウナの頻度・時間・種類と、より有効性を享受できる適切な患者選択について、今後のさらなる研究が期待される。

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