面白い論文を見つけました。
なんと、「科学的に最高のゆでたまごの作り方」についての論文です。
なお、題名は最近流行りの慶應大学中室教授の著書、「(科学的根拠)エビデンスで子育て」をもじったものです。
2つの温度環境で調理する、periodic cooking
世界的に有名な科学雑誌、nature系のcommunications engineeringからの報告。
イタリアのナポリ大学の研究グループが2025年に公表した論文は、ゆでたまごの科学的な最高の作り方に関するものでした。
Di Lorenzo, E., Romano, F., Ciriaco, L. et al. Periodic cooking of eggs. Commun Eng 4, 5 (2025).
periodic cookingと名付けられた、日本語では「周期的調理法」とでも訳せるもので、
卵を305K(33-35℃)前後と370K(95-97℃)前後の二つの温度環境へ、2分ごとに入れ替えて作るというもの。
数学や物理学的な計算に基づいて開発された調理法だそうで、こうすることにより、外から徐々に温度が伝わることで白身はしっかり、黄身には満遍なく熱が加わり、程よいゆで卵にすることができたようです。
このperiodic cookingの最大の特徴は中心温度は常温からじっくりと70℃ほどまで上昇する一方で、白身の温度は95℃以上の状態から徐々に低下していくという点。
また、沸騰したお湯での調理、やや低め温度での調理、低温調理でもゆでたまごはできますが、食感や栄養の観点からも、今回のperiodic cookingが最も優れていたであったとしています。
消化器内科医の視点:感染症リスクは?
さて、今回の論文について消化器内科的な視点からは、「感染症のリスク」について考えてみました。
卵が生の状態ですと、サルモネラ菌という細菌感染のリスクが上昇します。
しかし、サルモネラ菌は一般的に中心温度75℃以上で1分間加熱することで感染を予防することができると言われています。(厚生労働省HP「身近な危険 食中毒」より)
つまり、今回の調理法は衛生的にも安全性をクリアしたものだということがわかります。
periodic cookingの欠点
間違いなく、時間がながいということでしょう笑
合計で32分もの時間を要するため、日常的に使用できるものではありません。
ただ、興味の点からやってみる価値はありそう。海外のyoutuberはこぞって追試(再現)をしており、概ねいい感じに作れていたようです。
しかし、この原理を応用したゆで卵調理器具が今後発明されたり、他の食材の安全で美味しい調理法の開発につながることを期待したいところです。
ちなみに、国内ではゆで卵製造機が販売されています。
ゆで卵好きな方は使ってみてはいかがでしょうか。こちらは口コミでも人気のもの。↓
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